2001.01.29 MISCAST@目黒LIVE STATION。

ステージの白い幕が上がると同時に、爆音とその上に乗っかったSHINYAの威勢の良すぎる声が響いた。
“おい東京!今日は俺たちと熱くなろうぜ!”

1月29日、目黒ライヴステーション。
MISCASTにとって、21世紀最初の関東でのライヴだった。
私自身、彼らのライヴはこの日が3回目だったのだが、昨年とは何かが違う。
よりパワーアップしてるというか、私の観ている場所が前回よりステージに近くなったからというのも理由としては考えられるのだが…。
とにかく、何か強気な姿勢が感じられるのだ。

“OK!”
SHINYAのかけ声と共に、KAGEのドラムが入る。
するとたちまち爆音は旋律に変わり、「FOR DESTINY」が始まった。
1発目から飛ばしまくりのメンバー。
オーディエンスも、頭を振って腰を振って戦闘態勢に。
その勢いは留まることなく「Fight it out」に続く。
ドラムの音に合わせて、地を這うように踊るSHINYAが印象的なこのナンバー。
赤とオレンジのライトが惜しみなく照らしつけている中でうごめく彼は、まるでサバンナにいる野獣のよう。
そこに彼の「男」を感じてしまうのは私だけだろうか。

“あ、どうもどうも。えー俺たち、福島の郡山から来ましたバンド・MISCASTで~す!あのー東京の人たちにこれ言うのもアレなんですけど…郡山、すげーんだわ雪が!”
あ、あれっ?今までワイルドな方向でいってたのに…。
SHINYAの郡山弁MC登場にてあえなく崩壊。
驚かそうとしているのか、はたまたバンド名のように1つのイメージだけで見てほしくないのか…。
どっちにせよ、この時に見せるSHINYAの人懐っこそうな笑顔がイタズラに見える。

しかし今回はネタが地元すぎたのか、ちょっと不調気味。
さすがに気まずくなってしまったようで、“みんなライヴで燃えて、降り積もった郡山の雪を溶かそう”ということで強引に終了(笑)。
しかし冷えてしまった空気を打破するための“おい東京!盛り上がっていこうぜー!!”というかけ声に、拳を挙げて応えるオーディエンス。
このお約束のコール&レスポンスで互いの戦闘値を確認した後、3曲目の「ESCAPE」でMISCAST流ハード・ロックの世界に再び引きずり込んでゆく。

クールに唸らせる瞬のギターに、MANAのベースが後を追う。
津軽三味線の奏者顔負けの速弾きである。
そしてヘヴィで激しくて、でもどこかしら胸がキュッとなってしまうSHINYAの歌。
その3人を後ろから見守り、このとてつもなく速い曲のテンポを狂わせまいと懸命にスティックを振るKAGEの顔が印象的だった。

しかしここでちょっとしたハプニングが起こった。
演奏中、瞬が客席とステージを隔てている柵に乗った時だ。
ゴツンッ”…鈍い音がした。
大音量の中で、ハッキリと聞こえてしまった。
そう、カッコイイ所を見せようとした彼は、柵に乗った瞬間、天井の出っ張っている所に頭をぶつけてしまったのだ。
あの時の彼の切なそうな顔は、今でも忘れられない(合掌)。

そしてテンションの上がりきっている客席に、ピッタリの大暴れナンバー「CLIMAX」が送り込まれた。
振り上げる拳に、自然と力が入ってしまう。
しかしせっかく気合いが十分になったところで、調子を狂わすMC第2弾。またしてもやられた。
どうやら彼らは裏切るのが好きなようである。今度は、瞬の靴下の話だった。

“今日の俺の靴下、紫色なんですよ~。中3の時から履いてるんですけど…”つ、突っこめない!
とりあえず、「物もち良い人なんだぁ」と感心していたら4曲目の「Message」になった。
“みんな手を振ってな!右からだぞっ せーの!”
手を右に左に振って、オーディエンスとの一体化を楽しんだ。

ラストは、今回演奏した中で唯一、音源化されている「詩」。
夢を大成したい気持ちと、それをなかなか受け入れてくれない現実。それでも諦めきれない情熱の歌である。
まさに彼ららしい、前向きな曲だと思う。
“今年は全国ツアーやります!!”と意気揚々な彼ら。
その情熱で、その勢いで、全国にエネルギーをぶちまけてほしい。そしてそのサウンドで、みんなの心を喰いまくれ!

 

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